使われないカードはどんどん淘汰されていく

カード業界が成熟期に入り中小カード会社の淘汰が始まる

カードの使いみちは人それぞれで、世代間でも異なる傾向があります。利用者は賢く使い分けています。使われない力−ドは淘汰されていくのでしょうか。1990年代後半から2000年前半にかけて、金融機関が相次いで破たんした時期がありました。トップの資質や財務状況の悪化によって、銀行の「不倒神話」が崩れたのですが、このとき「銀行の数が多過ぎて過当競争の結果倒産した」との批判が生まれ、「オーバーバンク論」が浮上しました。そんなに銀行は要らないというわけです。


カード会社も、この2年間は発行枚数の伸び率が3%と鈍化し、業界が成熟期に入っています。2003年度のカード発行枚数は2億6000万枚で、成人人口1億200万人から計算すると、社会人1人当たり2.6枚を保有していることになりますが、実際は4〜5枚は持っている人が多いと思われます。なかには使われないカードもあるはずで、「使ってもいないカードの会社から知らないうちに毎年1000円から2000円の年会費を口座引き落としで徴収されている」と不満を持つ人も少なくありません。こうした状況が続くと、カードの淘汰が始まるかもしれません。


しかし、あるカード関係者はこう指摘します。「カード業界でオーバーノンバンク論が台頭することは当面はないだろう。銀行のキャッシュカードを何枚も持つ人はそう多くない。メインバンクのカードともう1枚がせいぜいで、何枚も持つとその管理が大変だからだ。しかし、クレジットカードは何枚あっても邪魔になるものではない。年会費は無料化の傾向にあるので、カード会社が多過ぎるという批判は生まれない」


日本信販(現UFJニコス)が2004年3月に発表した「クレジットカードについての消費者調査」(20歳から69歳の男女約800人を対象)によると、4枚以上保有している人が21%に達し、「前回調査ではカードを整理する傾向が見られたが、今回は複数保有の度合いが増した」と記しています。また「週1回以上利用している」と答えた人が26%に上るという結果が出ています。これは、消費者が複数のカードを用途に応じて使い分けていることが背景にあると思われます。


インターネットショッピングでは、インターネット会社のカード、ガソリン給油では石油系のカード、ETCでは専用カードというように、賢い利用法が定着しつつあると見て間違いないでしょう。カード業界で「オーバーノンバンク論」が浮とするのは、今のところないかもしれません。しかし、中小のカード会社は外資系の大資本に組み込まれているケースがあり、各地域にある小売商団体のカードは年々減少しています。


こうした現状は、信用金庫や信用組合などの地域金融機関が激減している金融業界と酷似しています。中小の淘汰だけでなく、銀行系カードの大手でさえ、メインバンクとの関係が希薄になっている時代です。「多過ぎる」との批判は出ていないものの、業界全体を俯瞰すれば整理・淘汰や新規参入によって、勢力図が徐々に変わっていくことでしょう。