ポイント還元、ETCなど官民一体で顧客増を目指す!

入会数と退会数が拮抗しているカード業界

カード業務は、数百万という会員に支えられて、規模のメリットを享受している業種です。しかし、その特性から毎年新規会員を獲得しなればならない宿命にあります。カードは数百万単位の会員がショッピングやキャッシングに利用することで、手数料や金利収入を得ています。当然、会員が多ければ多いほど利益が上がります。しかし、1人が何枚ものカードを持っていると、使われていないカードも出てきます。利用者は賢明ですから、入会後1年は年会費無料のカードであれば、1年後には会員をやめることも考えるでしょう。


ある統計によると、90年代の米国におけるカードの新規会員獲得率は20%前後で、脱会率は15%前後に達しています。会員獲得が会員脱会をわずかに上回るという綱渡りの状態で推移していく傾向にあるのです。これは我が国のカードでも同じ現象が続いています。カード各社は、毎年脱会者が出るのを織り込んで営業しているといっても過言ではありません。脱会者数を上回る新規会員を毎年獲得しなければ、規模のメリッ卜を生かすことができません。


年会費の徴収率は減り、ショッピンクの取扱高やキャッシングの残高も減少するのです。そのために「カード業界は毎年新規利用者を獲得しなければならない宿命にある」と言われているのです。


この傾向が最も顕著なのが、消費者金融業界です。消費者金融で融資を受けた人の多くは、完済すると再び利用することはありません。20%後半の年金利は負担が大きく、返済能力が高まれば(年収が増えれぱ)、より金利の低いローンに向かいます。現在では、信販やカードのキャッシング金利も消費者金融の金利と差がありませんから、信販やカードのキャッシング利用者も新規会員と脱会者は毎年入れ替わるサイクルになっていると思われます。


信販会社では、個品割賦(分割払い)という決済方法がありますが、完済すれば脱会者が必ず出ると言われています。業界大手の日本信販(現UFJニコス)におけるカードの有効会員は1234万人です。このうち、新規会員は前年度に比べて15.7%増加して182万人です。ショッピンクやキャッシングで同社のカードを利用した会員(稼働会員)は674万人で、稼働率は54.6%です。会員でも同社のカードを使っていない人が半数近くいることを示しています。


先の米国統計でもわかるとおり、クレジットカードは脱会会員や非稼働会員を補うために、毎年会員獲得に力を入れざるを得ません。新規顧客の獲得は、企業業績を伸ばすという命題がある限り、永遠にカード経営の最優先テーマとなっています。


カード会社の近年のトレンドは「ポイント還元」です。銀行の口座振替では得られないサービスなので、会員獲得に大きく寄与しているようです。ポイント還元は、購入した商品価格の割引率を換算して貯め、次回以降のカード利用時に使うサービスです。家電量販店や航空会社の「マイレージ」で導入され、クレジットカードにも広がっています。


最近、電気・ガスなどの公共料金をクレジットカードで支払う人が増えてきました。本来、クレジットカードは決済機能がないので、利用者が銀行口座をクレジットカード会社に登録して代金支払いを済ますのが普通です。しかし、公共料金は電力会社やガス会社が金融機関と直接口座振替するよう利用者に求めていました。電力会社やガス会社が銀行に支払う振替手数料が低価格だったからです。


しかし、利用者のライフスタイルが多様化しているため、必ずしも口座に残高があるとは限りません。そうなると、銀行にとっても督促通知を出さなければならず、従来の振替手数料では採算割れになります。銀行も大手企業といえども、採算を重視して取引を考えるようになっていますから、電力会社やガス会社も他の決済手段を考えざるを得なくなりました。


若い世代は年収も低いので、コンビニエンスストアで電話料金などを支払う人も多いのが現状です。そこで、請求が来ても翌月払いという1ヵ月の支払いの余裕があるクレジットカード決済が注目され、電カ・ガス企業も力ード会社との取引を解禁し始めたのです。


利用者にとって、これは大きなメリッ卜があります。電気料金の請求が来て口座引き落としされるだけでは、何の得もありません。しかし、クレジットカードで支払えば、ポイントが貯まります。あるクレジットカードは毎月の電話料金をカード払いにすると、市外通話割引サービスが20%近くになります。料金決済を1枚のカードに集約すれば、年間でかなりのポイントが貯まります。


高速道路などの料金所を低速でスルーできるETCも、クレジットカード会員増強の有力なサービスツールになっています。国土交通省によると、01年3月のETCスタート以降、ETC車載器セットアップ発行件数は800万件を突破し、ほぼ3台に1台の車がETCを利用しています。車載器も1万円前後と、低価格化が進んで普及率が向上しています。


ETCは車載器に決済用のETC力ードを挿入して通過するため、クレジットカードなしには生まれなかったシステムで、料金所における渋滞緩和に大きく寄与しています。今後のさらなる普及のため、道路公団は料金割引を実施し、クレジットカード会社はETCカードに対して年会費無料を推進しています。